バス停から徒歩2時間で、大草原の小さな家が見えてくる。
 標高約2000mに位置し、白山頂上(2702m)へのアクセスが比較的良い。その割に、
 水場は水量豊富。トイレは男女別。サイトは平坦、と、すこぶる快適。

 付近で唯一のテン場なので、普段も土日は混み、お盆は特に混む。
 この日は平日だったが、午後2時にほぼすべてのサイトが埋まった。
 より便の良いサイトを確保するなら、午前中着にするのがお薦めです。








花が多く咲いている。
日差しの角度が変わるたび、少しずつ見た目や色が変わるため、
水くみやトイレなどの用でテントを這い出ると、そのつど楽しい。








夕焼け空に透かした、逆光チングルマ。
撮影する自分の背後何メートルかに渡って、カメラを抱えた人の行列がせっついている。

違ったアングルから撮影するには、もう一度並び直さねばならないかのような威圧感が漂っていた。








 二日前までは、一日中雨足の強い天気が続いていたらしい。
 転じて運の良い事に、朝っぱらから視界の良い天候に恵まれてしまった。

 この日は頂上が、「テレビ金沢」の取材班によって占領されていた為、
 やや降りた所でゆっくり三脚を固定し、おもむろ撮る。
 風は比較的強く、雲海が横方向にブレている(F11, 90秒+ISO100)。

 雲海の向こうに、北アルプスが端を覗かせていた。








 太陽が実際に顔を出すのは、空が明るくなり始めて小一時間も経ってからだろう。
 気温の上昇と共に、基底状態で静止していた地表の雲海が攪乱され、舞い上がり、
 たまに視界が白くなる。それでも暁光は、衰えるどころか逆に源の輪郭を増幅させ、貫通してくる。

 次第に体温も上がり、汗かきはじめた。








 白山を形成する三峰のひとつ、大汝峰のピーク。(「白山」は御前峰、大汝峰、別山の三座の総称)
 同じ日本三大霊峰の一つである立山にも「大汝山」という峰があるが、様相はここと大きく異なる。
 こちらには社と、掘っ建て小屋のような物置があり、ビバークに適していると思われる。

 縦走路はここの直下をトラバースしているので、このピークには無理に登らなくても良い。更に
 白山の登山客は、大半が南西の尾根から入り、御前峰で踵を返すため、ここに登れば、
 多客期でも静かな山のたたずまいを楽しめるだろう。大汝峰が綺麗に見渡せる。







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