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1.削り中子式鋳造法
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粘土と砂を混合し、高温で焼いたのち粉砕した鋳物砂[真土(まね)といいます]で目的とする形、すなわち原形を作ります。その原形から鋳型(外型)をとり、次に原形を、流し込む金属の厚み分だけ削り落とし、鋳型を元の位置へ戻します。削った原形(中子といいます)と鋳型の間に溶けた金属を流し込む方法で、奈良・東大寺の大仏様が代表的な作例です。
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原形として、木・金属・石膏などを用いませんから、一つの原形から一つの鋳物しかとれません。鋳造時に失敗することもあり、その時は悲惨な思いを味わうことになりますが、世界にひとつしかない形を創造することでもあり、それが楽しみで、この方法を用いた制作に取り組んでいます。[専門家の方へ]通常の込め形に比べ、最初から中子筋金を構造力学的に設置することにより、コウガイや形持ちの数を少なくすることができ、また、薄物や長物も切り中子を用いないで制作することが可能です。
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2.蝋型式鋳造法
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原形を、蜜蜂の巣からとれる蜜蝋や松脂、あるいはパラフィンなどから作り、それを鋳物砂で覆い、加熱して脱蝋・焼成します。蝋がなくなった隙間に金属を流し込む方法で、精密でナイーブな肌合いの鋳物がとれることが特徴です。アクセサリーや精密部品はもちろん、ヨーロッパの彫刻作品、日本を代表する金銅仏である奈良・薬師寺金堂の薬師三尊などがその例です。
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また、精密に複製品がとれることから、硬貨も鋳造が可能です。ただしこれを実行するだけで刑法が適用されます。昔は、「銭が鋳造できて一人前の鋳物屋」と言われたそうですが、「天工開物」に出てくる図を見ますと、蝋型ではなく、生型を用いています。どちらの方法を採るにせよ、私の理論的計算では、百円硬貨一枚を作るのに、180から250円の費用がかかります。(92年の材料・燃料費から) 500円玉は銀が混ぜられていますが、400円ぐらいでできるはずです。しかし側面の刻印は鋳造では不可能です。
なお、現在の硬貨は、鍛造(プレス)によってできていますが、広辞苑によれば、硬貨とは「鋳造貨幣」の意味があります。
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ところで余談ですが、「和同開珎」「天保通宝」など古代の硬貨にはなぜ四角い穴があけらているのか、わかりますか?
これも「天工開物」からの結論ですが、ある程度まとまった量の硬貨を棒に通し、周囲をヤスリがけして正確に削りそろえるのに必要なのです。丸い穴では硬貨も一緒に回ってしまい、ヤスリがかけられません。四角の角棒で回転を防止するのです。プレスでできる今の50円玉は、その必要がなく、穴は、地金の節約にはなりますが、単なる飾りにすぎません。
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「AYUMIの夏ごころ」
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3.そのほかの古典的技法
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(1)惣型法
目的とする作品の半断面を形作った板(挽型板)を回転させながら、その周りで中子と外型をそれぞれひきあげ、焼成した後、両型を合わせ、その隙間に金属を流します。
茶釜・梵鐘・鉄瓶など回転形態を基本とする器物などを鋳造するのに便利な技法です。古典的とはいえ、なにも原形のないところから鋳型ができ、しかも挽型板さえあれば何個でも同じ鋳型ができるという合理性を備えています。
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茶釜・鉄瓶の表面に、ツブツブの文様(あられといいます)があるものが多いのですが、あれは、鋳型が乾燥しないうちに篦で一つ一つ押し込んでくぼみを作り、そこへ金属が流れ込んで、盛り上がった文様となるのです。梵鐘の撞座、銘文などは、あらかじめ作っておいた別の型を埋め込んで鋳出させることが多いです。
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(2)石型による方法
凝灰岩などある程度通気性を備えた石を彫り、それを二面合わせて鋳型とするもので、初期の銅鐸がこの方法だったとされ、実際にそれが発掘されています。これを用いれば、踏み返しといって、ある程度同じ物が量産できます。(中子はその都度作ります)
私も、珪操土を焼きしめた煉瓦を彫って鋳型とし、銅剣・白銅鏡(もどき)を作って遊んでいます。
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鋳鉄金彩盤
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