ユリ科の植物。名前の通り、ふだん食べるニンニクの仲間だが、健康食品として、通販のラインナップにたびたび現れる。
- 血液がサラサラに!
- 動脈硬化・脳梗塞の予防に効果的!!
- 血小板凝固障害・インフルエンザなどの炎症防止に絶大に効く!!
と、どこのサイトでも両手放しな褒めようである。そのため、おしなべて価格は高い。
名前も「行者」だし、修験者ばりに山奥へ行かないと取れなさそうな、希少価値バリバリ感漂う。実際、高級食材として、中華料理店へ出荷されていたりする。
だが、車の入れるような場所にも自生はしている。ガソリン代さえ出せば、血液サラサラへの道は遠くない。
普通のニンニクと違い、葉の部分を食べる。しかし、八百屋で売ってる「ニンニクの芽」とは異なり、香りはしっかりニンニク。それもかなり強烈だ。
群生に足を踏み入れただけで、靴で踏みつぶされた葉から、強烈な匂いがたちこめてくる。ニンニク風味になる我が身。歩くだけでよだれが出る。
「今夜はこれをたっぷり嗅ぎながら、肉を食べられるのだ」と考えながらニンニク狩りしてると、腰痛も気にならない。至福の雑用。
スーパーの袋いっぱいにつみ取る。
しかし、一つの株から生えている葉をすべて摘み取ると、残された根は腐ってしまう。従って、枚数に気を配り、モラルある採り方を心がけねばならない山菜だ。
株から生える葉の数は、毎年少しずつ増えてゆき、葉が1枚の物は1年物。すなわち、あなたのモラルに命運が掛かっている。
ただし、葉が残っている株に関しては、一雨降れば、すみやかに再生する。旬の時期であれば、一晩かからない程である。
うまく利用して、末永く食べていけるようにしましょう。
肉といっしょに炒める。テントの中は、腹が減っている人にとって拷問のような、素晴らしい匂いで満ちる。
テントに入れてあるすべての登山用品が、猛烈に食欲をそそる匂いに染まることだろう。この香りだけで飯が食える、という表現に、誇張はない。ちょっと前、「銭金」に出てたネタを彷彿とさせる。
炒めるのに使う菜箸が木製(e.g. 割り箸)の場合、そこに染みこんだ汁も、たいそううまい。経験あるだろう。ラーメン食った後の割り箸を奥歯で噛んで味わうのと同様だ。この残り香でもドンブリが食えてしまう。
「下品」などと罵る奴には、畑の場所は一生教えてやらないと決めている。
で、ちょっとしなった位で火を止める。だから、先に肉から炒めよう。
食べる時は、一気にかっ込む。鍋から直接がいい。食感はニラ似だが、繊維のじゃまっけ感がずっと少なく、食べやすい。もりもり食道に流し込める。
今まで口に入れた野菜の中で、もっとも完璧な歯触だ。みずみずしい「ほうれん草のおひたし」を、がっつり食べたとき、気持ちのいい歯触りと音がするだろう。あれの100倍気持ちいい。
山はみんな腹を空かせているから、幸せすぎて悶絶する人も出るかもしれない。
食べてる時の写真は、とてもそれどころじゃないので、撮れない。皆で奪い合いになるためだ。
行動中に昼飯を調理することはほとんどない。悪天候の場合、食べられなくて困るからである。
また、何らかのアクシデントで、火の使える平坦地に昼までに辿り着けないかもしれない。
天候や地形を選ばずかぶりつける行動食の存在は大きい。
いつも、1日分ずつ小袋に詰めて持っていく。または前日のテン場で作る。
これまで、カンピョウの手巻き寿司、食パンを押し固めたもの、チューブでバター1本など色々試してきたが、重量と手間の観点から、ほぼ下記の一辺倒となった。
左のようなお菓子を材料にする。
腐りにくければ別に何でも良いが、餡、ドーナッツ、ビスケット、カステラ、甘納豆、バームクーヘン等、甘ったるくて血糖値が急上昇するものが向いている。
血糖値は空腹感から身を守り、空腹感は集中力を殺ぐ最大の原因である。
原料を適当に小分けして、袋に詰める。
袋は、厚さ0.03mmくらいのが望ましい。二重にして使う。スーパーに備え付けのポリ袋は耐久性に劣り、ザックの中または部屋の畳の上で分解し悲惨だから避ける。
一日あたりの量は、各人の胃の大きさ、その日の行動の長さによって決める。自分(体重56kg, 体脂肪率9%)の場合、ザック25kgで行動8時間の日だったら、1000kcal位で何とか耐えられる。
カロリーメイトなら10本。コンビニのバームクーヘンなら1.5個分が目安だ。
畳や机の上で押し潰し、粉々に砕く。
いずれザックの中で粉々になる運命なので、それならいっそ徹底的に、気合を入れて圧縮しよう。ザックが小さくなって、パッキングが楽だ。
こぼれないよう注意。部屋にゴキブリが寄ってくるよ。
袋の口を縛って完成だ。
レーズン、干しアプリコット、バームクーヘン、クッキー、オールレーズン、セサミハーベスト、リッツ、タケダタマゴボーロ、リングドーナッツ、栗饅頭、人形焼、もみじ饅頭など、和洋折衷も何のその、袋の中で互いに馴染み、たいそう美味くなる。
夏場のチョコレート(含チョコチップクッキー)や、苺大福を間違って入れない限り、3週間位は日持ちし、ほとんどの登山計画に適合できる。
包装紙を極限まで廃しているのでゴミも出ず、軽量化にも一役買う。
ただ、匂いが漏れやすい点は要注意だ。デポ缶に鼠をいざなったり、移動時の列車内でザックが香ばしくなったり、と、場合によって顰蹙を買う。
食べた後、絶対口の周りにカスがつくので念入りに拭こう。
更に、食べ残しを帰りの電車の中で食ったりしていると、怒濤のごとく周りの客がひくのでこれも注意。
登山食は軽量化と燃費向上が命題だが、それだけではあまりに殺伐としすぎるから、たまに嗜好品が出る。
『嗜好品』という表現自体、殺伐としているが、登山は概ね、甘い味を忘れてしまう暮らしをするから、運良く食べられた時の喜びようは、だいたいの者が尋常でない。
殺伐ゆえの至福であり、「質素な生活もたまにはええな」と思えてくる。
新人が入ったり、山行中に誕生日を迎えるメンバーが居たりすると、彼らの喜ぶ顔が見たくて、誰かがこっそり、ケーキの材料をザックに忍ばせてくる。
皆が幸せになれる。新人は、『山でこんなものが食べられるなんて思いませんでした』と顔をほころばせ、昼間の嵐で凍死しかけた事も忘れてしまう。部に骨を埋める決意を新たにする。先輩も幸せになる。
鞭やローソクの後の愛撫がただの愛撫より気持ち良いのと同じ理屈だろう。
若者の登山離れが叫ばれて久しい昨今、皆さんの組織も是非。
さて作り方ですが、重さは頑張れば何とでもなるけど、賞味期限はどうにもならないので、材料は、スポンジケーキでなくバームクーヘン。生クリームでなくフルーチェ(牛乳は常温保存可能なもの)。飾り付けは缶詰と少々様変わりする。
でも、入山一日目の晩とかだったら、本物でも大丈夫でしょう。
スポンジは、コッフェルに忍ばせると上手く運べる。スポンジの直径は[号数 × 3cm]なので、コッフェルを予め測定してから買いに行こう。
メッセージ入りの板チョコなどは、タッパー入れていくと安全に輸送できる。ミカンや桃は缶詰で運ぶ。苺は、タオルを濡らして固く絞り、それで包むとタッパーで運べる。
現地では、スポンジにクリームを塗りたくって飾り付けをすれば完成だ。対象者に皿洗いをやらせている間にこっそり作る、等の演出が、より驚愕の度合いを増してくれる。
ところで左のケーキは、上に桜の花が乗ってます。これで新人もメロメロでしょう。
その甲斐あって、彼は卒業までワンゲルを続けていました。
でも攪拌して食器で食う。カレーと変わらない。
部の伝統行事に、「差し入れ弁当の手配」というのがあった。
知り合いの女の子に、弁当を作ってくれるよう頼み、合宿の出発当日に持ってきてもらうのである。
「部の伝統だから」を口実に女の子と話ができる便利な行事で、毎年多くの一年生が、困った顔をしながら喜々として挑んでいた。
登山口までの車中で、皆でそれに舌鼓を打つ。休みの日にわざわざ早起きして作って下さったことに感謝して食べる。
これから数日続く、乾燥野菜と水だけの惨めな生活に耐える気構えで、舌全体で味わいながら食べる。
万一耐えられなくなった場合に備え、食べる前にデジカメで撮影し、あとで見直せるようにしてから食べる。
食べ終わってから、「どうやって頼んだんや?」と手配者を質問攻めにする。
次の合宿では、「それからどうなったんだい?」とほじくり返す。
弁当箱には隅々まで色んな料理が詰まっているが、それを巡る人間関係からも、負けじと色々出てきて面白い。
担げる重量は限られるので、味より効果、つまり酔いやすさ重視で選定される。
必然的に、強めのウィスキー、ブランデーが主流となる。ストレートで飲むのだ。
山は空気が薄く、そのうえ日中の運動量が多いから、廻るのが早い。
程なく、エロネタ大好きのメンバーが詰まったテントの中は、聞くに堪えぬ会話が飛び交いはじめる。
セクハラとかプライバシーとかの概念はもみ消される。
だが、合宿も何日目かに差しかかり、下ネタも恋話も喋り尽くすと、最後に真面目な話題の出番が回ってくる。
普段なら吹き出してしまうような話題を臆面もなく交わせるこの時間が、自分は大好きである。
「山の空気の色」とか「魚になったらどの海を泳ぎたいか」とか「かっこいい歳の取り方」とか。
いずれもちょっとした雑談だったが、今でもよく思い出すし、それを元ネタに、もっと魅力的な心の世界に辿り着けることがある。
例えば、きれいな景色を見た時、「あー、この空気は例えるなら何色やろなー?」のように。
色々な思考ルーチンを手に入れることができたのは、酒の尽力に依るところが大きい。
この役得があるから酒は魅力的であって、ひいては楽い。
酔心で、仲間と紡ぎ出す時間や記憶が楽しいのだ。
大学を卒業し、一人で山行する機会が多くなり、酒もほとんど持って行かなくなった。
一度試しに持っていって、一人で飲んでみたら、大層つまらなかったのである。
話す相手がいない孤独感は、居酒屋で一人で飲んでいる時の比ではない。
酒の力をもってしても、一人では、あの狭いテントさえ充実感で満たすことは叶わない。
山仲間が欲しくなる。
肉は、山に持ち込む食材の中で、最も工夫を凝らさねばならないものの一つである。
生のまま持っていったら晩飯までに腐るから、加熱処理して持っていく等せねばならない。
味噌やラードやニンニク漬けにして運ぶともう少し保つが、それでも夏なら2日が限度だろう。
そこで、更に長い合宿の場合は作戦が要求される。
材料は、豚の粗挽き肉、酒のつまみのかわはぎロール、豚や牛の背脂、塩、ブランデー、胡麻油、コーンスターチか片栗粉、ニンニク、好みの香辛料、そしてアルファ米である。
上記の材料のうち、アルファ米以外を細かくきざみ、ボールに入れて混ぜる。
ペースト状になってきたら、少しずつアルファ米を流し込みながら更に混ぜ続ける。
ある程度堅くなったら、神戸の南京町で売ってる胡麻団子みたいに仕立て上げて、次は薫製にかかる。
餅を焼く金網等に載せ、50度くらいの煙の中で1時間ほど燻す。すると次第に表面が乾いてくるので、徐々に金網を炎に近づけ、肉の温度を上げる。
ただし焼き肉にしてしまったら意味がないので注意。具体的に測ったことはないが、水が沸騰する温度では高すぎる事が判明している。金網に水を垂らしても「ジュッ」と蒸発しない程度に留めておこう。
4時間ほど経つと黒ずんでくるから煙から出し、最後に風通しの良いところで仕上げをする。
丈夫な木綿の袋に入れて乾燥機で回したら早いかな、とも思うが、洗濯設備が共同の寮に住んでいるのでぼくには難しい。誰か試してみてください。
薫製が上手くゆき中までちゃんと水分が抜けていれば、夏場でも4日は使える保存食となる。
市販のサラミやビーフジャーキーの方が長持ちする、というツッコミは却下。
上のように、鍋にブチこんで煮込むと、普通の肉団子になっているという点が素晴らしいのだ。
ちょっと贅沢なつみれ(?)雑炊が楽しめよう。
所で、肉と米を混ぜるという発想は、モスバーガーくらいでしか見かけないように思えるが、実際は日本各地に古くから伝承する調理方法である。
例えば東北地方の寒村で、こんな民話を聞くことができる。
─── むがしこ、木こりの そしたらむすびコ、穴の中サ転がって、兎も後追ってとびこんだし。どんだば、その穴から、
となんとも調子いい唄コ響いてきたし。 爺さまがおもしろがって、まだ一つ投げ込んだら、やっぱし同じ唄コ聞こえてきたんな。その唄コうかされで、むすびコ一つ残らず投げ込んだし。そえがら重箱まで投げ込んだつんな。すたら、
と聞こえてせ、 爺さままで、穴の中サずっこけたそな。
と唄コ聞こえでよう、気が付いだら、でっかい広場で、いっぺいの兎が餅コついていだず |
─── それがら、兎はむすびコの礼にとよ、
|
インドは国民の83%がヒンドゥ教徒だが、12%程度−−とはいえ1億人は下らないイスラム教徒も暮らしている。
従って外食産業は、ヒンドゥ教における牛肉のタブー、イスラム教における豚肉のタブーの両方を考慮しないと商売できない。これらの宗教では、キリスト教圏(牛肉は食べる緑豆とか)や何かと比較にならないくらい戒律が強く、教徒はこれを頑なに守る。
破った者は厳しく罰せられる(らしい)。
1995年には、バンガロールのケンタッキーフライドチキンが、化学調味料を多用しているという理由で、保守系(インドで保守系というと、ヒンドゥ系の諸団体から派生した右翼派がそれにあたる)の農業団体に襲撃されたほどである。
道頓堀川に捨てられるだけで済む国と、えらい違いである。
そのような国にあるマクドナルドに入ってみた。
上の看板にあるように、肩書きは「ファミレス」だ。しかし家族連れはわずかで、観光客風の若者や、金持ちっぽいおっさん達が団体で席を陣取っていたりする。溜まり場と化している点は、日本のファミレス風といえる。客の回転はそれほど速くない。(必死で撮った店内の動画/0分06秒/215KB/Nancy形式)
前述の事情を考慮し、メニューは「ベジタリアン用」と「ノンベジタリアン用」とに分けられている(この区分自体は、インドでは普通に見られる)。前者は、乳製品を除き原料はすべて野菜 or 穀物。後者は、鶏、羊、魚といった肉が使われている。
右の写真は字が潰れていて読みにくいが、目が疲れて読みにくい彼らのWebページにメニューがすべて掲載されているので参考にしてみよう。
チキンマックグリルとコーラのセット(41Rs = 約120円)を注文。店員さんの営業スマイルは、充分行き届いているであろう社員教育を思わせる、洗練されたものだ。
できあがり時間も、日本と変わらない。出てきたら金を払って、自分でトレーを席まで運んでく方式も日本とおんなじ。(ただし、食べ終わった後は、店員が下げてくれるようだ。知らずに自分で捨てに行ったらたいそう感謝された)
中身はマヨネーズとタルタルソース風味で、なかなかうまいのだ。ジューシーなチキンサンドの食感だ。学生時代、金が無くて食パンにマヨネーズ塗って食べてた頃の記憶が蘇えってくる。それに肉が入っている訳だから、贅沢感倍増だ。
インドでは、鶏肉はだいたい小骨入りで出てくるが、それも入ってなくて食べやすい。
マクドナルドは、欧米文化アレルギーの強いインドへの進出にあたり、相当慎重なリサーチと対策(主力商品の牛肉ですら放棄する徹底ぶりだ)を行ったらしく、その結果、他の国の店舗とは明確に路線の異なるメニューが満載となっている。我々日本人に味が想像できる品といったら、フィレオフィッシュくらいだろうか。
現地法人の社長は、 「牛肉・豚肉を排除した結果、食材は、インドのどこにでもある極めて家庭的な品揃えとなった」 と、特別なレストラン(=襲われてケンチキの二の轍)であることを否定している。ファミレスを標榜するのは、このような事情もあっての事だろう。
そんな、外見は遊び人なのに「ホントは真面目なんだ」と言い張る歌舞伎町のナンパ師のようなマクドナルドに、一度行ってみてはいかがでしょうか。クーラーが効いて、きれいなトイレも付いてるので、ハエの飛び交う定食屋に飽きてきた頃に最適と思われます。
脂の苦手な方には、Subwayという選択肢もありますが、こっちはこっちで、「ストレートティー」に砂糖が飽和するくらい入っていたりするので油断がならない。