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浜松町からモノレールで羽田空港に行く途中、あまり存在感のない駅を二、三通過する。
「整備場」という、直球勝負な名前の駅だ。
合コンとかに適さないことは想像に難くないが、どんな駅前商店街があるのか、家賃の相場はどのくらいかと、興味はつきない。
平日なら蒲田からバスでも来られるが、ヒマラヤの山奥より便数が少ない。
ぐるなびで調べた所、コンビニすらヒットしなかったため、あらかじめ食料は買い込んでおいた。長居するかは別にして、東京砂漠で倒れない準備はばっちりだ。
浜松町始発のモノレールは、観光客でいっぱいだった。つられて湧き上がる旅心を振り払い途中下車するのは、意外に骨が折れる。
財布にもう一万円入ってたら、終点まで乗っていって、千歳空港に高飛びしていたかもしれない。
Suicaで下車できる。
周辺は、360度の工場地帯だ。こんな光景は、小学校の社会見学以来だ。
日曜の夕方のせいか、人もほとんどいない。時折、建物の通風口から、タービンか何かの音が聞こえるだけで、物の動く気配はあまりない。
防犯上の理由から、飛行機の姿は安易に拝めないが、上空から見ると全貌がわかりやすい。(Google マップ)
建物も、今までの人生で見慣れないものばかり。
東京駅から550円で異国情緒が楽しめる、経済的な街である。
では具体的にどの国に似ているか、と言われれば、今まで行ったどの国にも似ておらず、「無国籍」がもっとも正解に近い。
「無国籍居酒屋」の割に「沖縄そば始めました」と店内にポスター貼りまくってる、職場近くの居酒屋よりカオス度が高い。
訪ねる先もない。味方がいるか、敵が潜んでいるかも判らない機械の街をぷらぷら歩き、元の駅に戻るしか出来ない。
銀河鉄道999が辺境の星に停車した時って、きっとこんな感じでは。
「降りられない駅」が、神奈川県川崎市にある。JR鶴見線の海芝浦駅だ。
貨物駅や信号所ではなく、れっきとした旅客駅である。Suica は使えるし、JTBの時刻表にも載っている。
関東のJR路線図 (車内に貼ってあるでかいポスター) だと、左下のほうに、シムシティで適当に作ったような形状が描かれているが、その先端にある。
京浜東北線の鶴見から、15分~1時間に1本、電車が出ている。
海芝浦駅は、(株)東芝の敷地に建っている。
100%、通勤と貨物運搬用に作られた駅であり、改札を一歩でも出ると東芝の敷地、すなわち立入制限区域なのが、「降りられない」理由だ。だから正確には、社員の方は下車できる。
観光客は、来た電車でそのままトンボ返りするしかない。
が、東芝さんの計らいで、改札「内」に公園があって、無料開放されている。折返し出発までの間、たわむれることが可能。
ベンチと公衆トイレ、ジュース自動販売機(120円)が利用できる。潮風がきもちいい。花壇にはローズヒップなんかが咲いている。
利用上の注意事項は、以下の通り。
- 9:00~20:30営業
- 喫煙は所定の場所で
- 禁止事項…釣り、飲酒、球技、ゴルフ素振り、火器の使用、集会、物品販売等
風景はレトロ。川崎から10分とは信じられないのどかさだ。
車窓からは、地元に里帰りした時のような風景を楽しめて、下車すれば、ホームの隣がすぐ海。
いっけん、空からの眺めは無機質だが、訪れると、ちっともそんなことはないのが不思議。
紀行作家の宮脇俊三は、この駅を、「旅に出たいが遠くへ行く時間のない場合、海芝浦駅へ行くとよい」と評した。
激しく同意である。
プラットホームのすぐ下を、運河が流れている。その気になれば二秒で飛び込めるアクセスの良さだ。赤潮で染まっていた。匂いも若干、イカくさい。
彼方に、首都高湾岸線の「鶴見つばさ橋」が見える。夜だったら、赤もクソもないから、夜景がキレイだろう。匂いは、コンビニでキムチとか買っていって消せばよい。
人は少ないので、夏の花火大会をゆっくり見れるのでは、と思い直線距離を調べてみる。
名称 場所 距離 神奈川新聞花火大会 臨港パーク前の海上 6.3km 横浜の国際花火大会 山下公園前の海上 5.7km 鶴見川花火大会 佃野公園 2.7km
鶴見川が最短距離だが、東芝の建物に遮られると思うので、上2つが狙い目だろう。
海芝浦駅では、写真の撮れる場所が制限されている。東芝さんのセキュリティポリシ上、建造物などは撮影が禁じられているのだ。
うっかり撮ると、警備員さんが飛んできて、デジカメのメモリー抹消を指示される。心臓に悪いので、帰宅後、撮影可能な範囲を問い合わせてみた。
回答は、「海芝浦駅構内及び海芝公園内から、事業所構内を撮影することは禁止されているので注意」ということだった。
迅速な回答、ありがとうございます。遵守致しますので、またお邪魔させていただければ幸いです。
イギリスの、オフィス以外の場所で、蛍光灯を見たことがない。白熱球だらけである。
何か恨みでもあるのかと思って調べた所、
ということらしい。なるほど謎は解けた。
ネプチューン・キングが十万年前に身を投げた川、としか知らなかったが、夜景はきれい。同時に星空も拝める。せせらぎの音色もレベルが高い。逢引にもってこい。
ただ、昼間に見るとコーヒー色に汚濁していて、ペットボトルも一分間に二本くらい流れてくる。ガンジス川っぽさに関しては、神田川を圧倒している。
寅年の年賀状の写真を撮りに、ベルリン動物園を訪れる。
虎は、細長い畜舎に閉じこめられ、かれこれ30分、こうして同じ場所を、機械的にぐるぐる回り続けている。笑顔に満ちた周囲の観客と対照的に、精気が感じられない。
ときどき思い出したようにうなる以外、子供の歓声にも、カメラのフラッシュにも無反応だ。虚ろな空気を漂わせている。十二支に就いたばかりに、多忙を極め、気の休まる暇もなく、追い詰められる日々なのだろうか。せめてフラッシュは焚かず撮らせてもらう。
夜行性動物コーナー。虎と対照的に、マッハでキャベツをかじる元気なウサギ君。もう50分は、こうして食べ続けている。
環境がどんな闇でも、気の持ちようで、人生いくらでもエンジョイ可能という良い見本だ。
ヨーロッパの冬は、昼三時には闇夜が訪れると聞くが、彼を見習って、小学生並みの食欲は維持していきたいと思う。
動物園ちかくの噴水を、落葉が彩っていた。
質実剛健な建造物が多いベルリンにあって、異彩を放つカラーリングで静かなブーム。
地元の人に聞いたところ、ちょっと前までショッキングピンクだったそうだ。また、その前はエメラルドグリーンだったらしい。
建築デザイナーが、破格の条件で雇われていることは想像に難くないが、高い方に破格なのか、安い方に破格なのか、予想がつかない。
「最近の若者は狂ってる。イギリスももう駄目ねぇ」 という年配の方のぼやきを、よく耳にする。
たとえば上の駅の看板。案内文がイタズラで削られ、別な意味に変えられている。
"hang her for no Bra"
=彼女を (縛って) 吊してノーブラにしよう
Change here
は全駅で共通だから、おそらく他でも、縛ることを推奨する文面に改竄されているのだろう。
交通網という社会インフラで連呼される、縛れコール。やがてイギリスの文化として定着してしまわないだろうか。山でのザイル訓練を怠らないようにしたい。
イギリス社会は、個人の地位・立場をリスペクトするためか、クレジットカードの申し込み画面(クリックで拡大)で、ありとあらゆる肩書きが選べるようになっている。
カードの氏名部分も、この肩書き付きで刻印されて出てくる。例えば "SIR TARO YAMADA"
のような表記だ。
スペースが2つ含まれるため、日本の通販サイトに入力すると、「不正な文字が入力されています」と拒絶される場合がままある。ちょっと悲しい。
それでも、COMMANDER とか BISHOP とかの肩書きのカードは、男のロマン的に、一度は手にしてみたい。
最終目標は PRINCE で。
(引用: 郵便局のサイト)
ベルリンの世界遺産「博物館島」。
展示物のラインナップは、古代エジプト・メソポタミアから19世紀ヨーロッパまで幅広い。
予備知識が無くても楽しめるようにとの配慮からか、端々に遊び心の盛り込まれた見せ方になっている。
例えば「天使の像」は、ちょうど背後の窓枠が、ぼんやり十字架に見えるよう配置されている。
義父を急所攻撃する妻。
5時間くらい釘付けになった。
ソーセージでも食ってテンションを上げてから乗り込もう。
世界各地から強奪収集した美術品・工芸品を所蔵する巨大博物館。ロゼッタストーンや、円盤を投げる男(Discobolus)が有名だ。
古代エジプト・スーダン関連品の所蔵量は特に多い。こんな根こそぎ持ってこないで、カイロ考古学博物館に返してあげればいいのにと心が痛む。
到底一日では廻りきれないが、入館は無料なので、疲れたらまた翌日来れば大丈夫。
おすすめは、正門前のファーストフード店のユッケビビンバである。
日本の古代神話では、サル(猿田彦)は、旅路を司る神と考えられていた。
興味深いことに、これは古代エジプトでも同様だ。トト神(エルメス)の権化のひとつであるサルは、旅の神として崇められ、こうやって今なお、大英博物館の道案内に徹しているのであった。
市民生活を象った造形も多数ある。壺に囲まれ市場をショッピングする女性。
「最近パピルスも値上がりしたわねぇ」
Vゾーンの脱毛に失敗した女性。
これから埋没毛に怯える日々を過ごす。
恐竜ファンの憧れ、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaur Rex)。
訪問者を童心に返すオーラは、舞浜の哺乳類達など足下にも及ばない。ただこうして立っているだけで、かれこれ百年、世界中の恐竜少年を魅了してきているのだ。
家族連れで来たお父さんが、「パパー早く帰ろうよー」とせっつかれている。
他にも、甲殻類、魚介類、鳥類、昆虫、爬虫類、軟体動物、哺乳類と、かつて地球を闊歩した様々な生命体が、進化の時系列に沿って整然と並んでいる。
これはアフリカゾウの骨格標本。象牙がむしり取られているのが痛々しい。武士の情けでエンバーミングしてあげればいいのに。
入場は無料 (寄付ひとり£2推奨) 。団体入場は事前予約が必要。一階部分はすべてバリアフリーで、車椅子のレンタルもできる。
Oxford の多くの路上は、日曜は駐車料金が二時間まで無料だが、たぶん二時間では廻りきれない。腕時計や携帯バイブにアラーム仕掛け、二時間おきに車まで往復しよう。
博物館の目玉は、むろんティラノサウルスだ。しかし最大のサプライズは、二階の昆虫コーナーに潜んでいる。
生きている大量のゴキブリである。
ここまで、見慣れない生物は多く陳列されていたが、それらは化石・剥製・ホルマリン標本。あくまで展示「品」だ。いきなりワサワサ動くのは反則だろう。
スーパーの鶏肉コーナーで、ササミがいきなり動きだすレベル。
「生きている化石」と、学術的な言葉で取り繕えば、何でも許されると思っているのか。
「博物館」としてあんまり見かけない展開に、必死で電源ケーブルを探してしまった。
階下は蝶の標本。
世界の秘境が「新世界」と呼ばれていた頃、欧州の動物学者達が、新種発見の競争を繰り広げた時代の収集物だ。ようやく普通に戻った。
イギリス人の感性は、油断すると、理屈ではどうにもならない領域に踏み込んでくる場合があることを、胸に刻んでおかねばならない。
心無い若者の落書きで やさぐれた外観になった路面電車が、どぎつい急勾配をやけくそでガリガリ登る、ポルトガルの首都リスボン。
海沿いの街の裏手がすぐ山で、市街地は、急な斜面に階段状にひろがっている。ちょうど、広島県の尾道のような風情だ。
魚介類がうまいのも尾道と同様だ。ラーメンは無いが、グルタミン酸が粉になって吹いた魚が、ずらりと並んでいる。
ポルトガル人と日本人は、魚介系珍味で盛り上がれる。
居酒屋の軒先で、「あの家の草むしり、登山家でないと無理っしょ?」 と笑ってつっこみ合いながら、ポートワインで酔っぱらう。
リスボンを歩き回っていると、鳥の姿が多いのに気づく。
鳩に至っては、探すのに十秒とかからない。公園で鳩の群れを散らすのが好きな人には、たまらない街だろう。
しかし日本と違って、不必要に凶暴な顔立ちが多い。とても平和のシンボルに見えない。悪い物でも食べたのだろうか。
散らしに行くなら、遺書を書いてからにした方がいいかもしれない。
凶暴化する気持ちも判らないではない。
ヨーロッパでは、鳩はポピュラーな食材なのだ。日々、仲間が焼かれる匂いに慟哭し、追っ手に怯える暮らしを続けていれば、自然と険しい顔つきにもなるだろう。日本でぬくぬくポップコーン喰ってる連中とは違うのである。
私の職場近くのレストランでも、日替わりメニューに鳩料理が出る。(ごく一般的なイギリス料理の店)
この他、ウサギに関しても「こっちではメジャーな食材」 「ピーターラビットの父親は、人間にパイにして喰われたって設定になってる」等の話を聞くので、今度、近所で野良ウサギをみつけたら、眉毛がつり上がってないか検証しておきたい。
ベネチアで遭遇した、いっちゃってる鳩。
この三白眼を見る限り、性格の穏健な様を「ハト派」と呼ぶのは、不適切だろう。
もしくは、人畜無害かどうか外見や先入観だけで判断するな、という教訓めいた比喩なのかもしれない。
首も、鳩にしては長過ぎの気がする。我々の知らないうちに、すでに鳥類以外の何かへと、進化を遂げてしまったのではないか。ポケモンの一種と思って接したい。
15匹ほど群がって、観光客に愛想を振りまいているが、チラチラのぞく鋭い眼差しと牙。正体は 100 パーセント猛獣である。
加えて、家の庭に屈託なく糞を撒き散らすわ、干しておいた鰯を奪っていくわ、私にとっては素行不良生物のイメージが強い。どうやったらこんな人気者になれるのか。糞や鰯は許すから、秘訣を教えてほしい。
女性がいれば歓声を上げっぱなしになるであろう、風光明媚な街ベネチア。
しかし、水面下や建物の影には、台所で見たら悲鳴を上げるであろう生物がうじゃうじゃ見え隠れする。どちらにせよ叫ぶことは免れない街ベネチア。
ファーストフード販売のワゴンを、ヨーロッパの観光地でよく見かける。
材料の仕入れも楽だし、夜は、適当な場所に移動するだけで店じまい完了だ。
ただ、機動性に富むあまり、店舗として成立しない場所でうっかり商売を始めてしまう、あわてん坊のオーナーもたまにいる。写真は、夜の間に北海に沈んでしまったアイスクリーム屋。
ドイツ・ダルムシュタットのパブにて。
立ち位置的に、角の二つの同時使用は困難に見える。なぜこんな設計になっているのだろう。
膀胱炎に気をつけつつ、真相を確かめたい。
アパートと30cmも離れていない所を線路は走っている。
洗濯物が架線に触れたり、ベランダがへし折れたりしないか不安でしかたがない。
ただ、八百屋の前に停まった時に、窓越しに、駅弁感覚でドリアン買ったりできて便利そうだ。
お釣りをもらう前に発車してしまい、電車賃が払えなくなって、仕方なくドリアンで精算したりするのである。
リスボンの市電は先払いなので、このような事態は起きないです。
夜景をチャリで見て廻るツアーがベルリンにある。テレビ塔のふもとに19時集合。
ブランデンブルグ門、ベルリンの壁跡といったメジャー処から、共産圏時代のデパート跡など、ロンプラにすら載らなそうな場所も廻れて€24。ワンドリンクつき。四時間半の行程だ。
バスツアーほど急かされず、ささいな景趣もしっかり目に焼き付けられて、良い感じ。
このサイクリングツアー会社は、パリにも営業所を持っており、こちらにはセグウェイで廻るバージョンが用意されている。乗るなら絶対こっちだ。
流行最先端の街で夜景が見られるというだけでロマンチックなのに、そこを最先端技術でかっ飛ばす。 こんな痺れるロマンはない。
シャネル買う金削ってセグウェイ乗ろう。
ポルトガルの首都リスボンで泊まった、バックパッカー向けゲストハウス。食堂に飾ってあったオーナメントがこれだ。確信犯である。
部屋も男女相部屋ばかりだし、男女七歳にして席を同じうせずとかの思想は、この国では永久に守られる気配がない。
イギリスの鉄道は、
と、ホスピタリティは劣悪だが、自転車を、特に梱包しなくても無料で積める。通勤時間帯や一部の列車で例外もあるが、チャリダーには幸せな国だ。
輪行に寛大な文化はヨーロッパで共通らしく、ユーロスターなどの国際列車も例外ではない。車輌や駅自体が、自転車の搬入を意識した造りになっており、多少の追加料金を払えば、寝台列車で自転車と添い寝も可能。
来週は、チャリ持参で、フランス→ポルトガル行ってきます。
「国境を二本の足で越える」というのを一度やってみたくて、国境警備隊にしばかれない程度に記念写真を撮ってきたいと思います。
晴れたら庭でバーベキューせずにはいられないのがイギリス人である。我々も、負けじと参戦。
渡航前、「イギリス料理は不味い」とさんざん脅されたが、蓋を開けてみたら、肉も野菜も穀物も香辛料も異常な充実ぶりで、バリエーションは想像以上にすばらしい。自炊する限り世界最強だ。
食べ物がうまいせいで酒も進み、加えて気持ちのいい日差しと芝生のせいで、あっさり延びてしまった私。(写真左手)
(撮影: 会社同僚)
100人の日本人に、「ベルギーと言えば?」と聞けば、うち80人は、ビールかワッフルと答えるだろう。
自分も、明るいうちからパブをロックオン。昼下がりの陽光が、天井のステンドグラス越しにジョッキを照らし、とてもきれい。
写真は、Steendonk という銘柄。燻製の香りが特徴的だ。ピーティーなアイラモルトウィスキーが好きな人にお勧めの一杯。1パイント€3。
気持ちよく飲んでいると、股間を小便小僧にロックオンされていた。本能的な居心地の悪さが押し寄せる。
一応「小僧」だし、設定上は、たぶんまだまだ、ちんちんネタで大はしゃぎする程度の、ちんちんの真の使用目的をよく分かっていない年齢なのだろう。べつに生殖器として扱うつもりはありませんよ、眺める以上のことはしませんよ、ということなのだろう。
でもこんなラオウみたいな目の小学生はいない。人畜無害を装っても、騙されはしない。
無邪気にちんちんで騒ぐ小学生とは、完全に別次元のオーラだ。
そのうち攻撃されそうな気がしたので、二杯だけ飲んで店を後にした。パブの回転率向上に寄与するベルギーのテクノロジー。
インドの大衆食堂の主役・チャパティ。
日本でインド料理屋に入ると、主食の選択肢が米とナンのみの事が多いが、その固定観念を打ち砕くように、ここではチャパティが多勢を占める。ナンを食べている人は、インドに計65日滞在して、まだ一度も見たことがない。
日本以外の国で、寿司屋の売り上げの多くを、唐揚げとアボカド巻きが占めているのと同じ構図。
チェコのプラハ城で、異なる時を刻む二つの掛け時計。
そもそも下側は、読み方に悩む盤面だ。制作者の意図は何だろう。
つぎ訪れるときは、駆動部の機構も忘れず確認したい。
オランダのアムステルダム。
運河に浮かぶ船の屋根は、かもめ達にとって、野良猫に襲われる危険のない快適なダイニングだ。
八百屋で買ったリンゴを、ちょっとベンチに置いておいたら、一瞬で奴らに奪われてしまった。
どうやっても取り返しに行けない。
快適なダイニングは、加害者になったときの逃走先にもなる。
ドイツのベルリン → ウクライナのキエフを、寝台列車でガタゴト移動。
途中、ポーランドをまるまる横断し、キエフ中央駅までは二十四時間の長旅だ。ただし、うち四時間は、国境での入国審査と、客車の台車付け替えに充てられる。
中に乗客を積んだまま客車をクレーンでつり上げ、台車だけ、標準軌 → 広軌に付け替える。
冒頭のガタゴトという表現は、比喩でなく本当にそういう効果音が聞こえてくるということだ。
旧ソビエト圏に、初めて足を踏み入れる。
キエフ中央駅の場景から受けた衝撃は、初の海外訪問(24の頃)の時のそれを数倍上回るものだった。
建築様式、照明の角度と色、人々の服装、見慣れない文字…。既訪のどの文化圏とも違う思想から産まれた、未知の様式とのファーストコンタクト。武者震いが走る。
夜行列車で乗りあわせたドイツ人青年 (同じく初の旧ソ) と二人で、「うーーーすげーーー」と、各自のネイティブ言語で呻きながらコンコースをさまよう。
キリル文字を、顔文字の構成部品としか認識できない。
( ゚Д゚) ← こういうのを頼りに街を歩き、バスを乗りこなさねばならない。
意外に困ったのが、食事のできる場所をすんなり発見できないことだった。
看板の文字が読めないので、建物の正体を識別できないのである。電器店も弁護士事務所も葬儀屋も、すべて同じに見える。
いくつかの建物には、「レストラン」に相当するウクライナ語が書かれていることは想像に難くないが、ぱっと見渡してそれが分からない。
近くまで行って中を覗き込まないと、食べ物にありつける場所かどうか判断できない。空腹時にはつらい思いをするだろう。
唯一分かるのは、これとかこれとかこれみたいな店だけなので、気をつけてないと、滞在中の食事がすべて中華料理になってしまう。
インド・タージマハル本殿。
「ここではきものを脱がないで下さい」は、ヒンズー語でも、二通りの意味に解釈できる文章なのかもしれない。
モロッコの山奥・イムリル村の食堂で、野良猫が焼鳥に忍び寄ってくる。相手がバーバリライオン級だったら諦めるが、簡単に撃退できそうなので安心だ。おちょくって遊ぶ。
「ほらほら~ 上物の鶏肉だぞ~」
しかしこの隙に、テーブルに置いといた他の串を、別な猫に根こそぎ食われてしまった。IQ で猫に負けるシステムエンジニア。
ヨーロッパ滞在の最後の週末。アイルランドの首都ダブリンで、本場のアイリッシュ・ウイスキーを嗜む。そして盛大に酔う。
IQ で猫に負けた脳みそは、更に脳細胞を死なせ帰国する。
再度のヨーロッパ。今回はロシア経由だ。
モスクワ・シェレメチボ空港で乗り換え中、風変わりな自販機が目にとまった。
窓越しに見える駆動部の様子から、オレンジジュースを搾る機械のようだ。長旅でビタミンも不足しだす頃。口に唾液が溢れる。値段は一杯100ルーブルである。
白木屋の生オレンジサワーより高いが、勇気を出して、両替したてのピン札100ルーブルを突っ込む。
つごう、皮の製油が 100ルーブル。