「盤」とは中国語で「たらい」の意味です。もともと水をためておく容器ですが、日本では花器として利用されます。
これも蝋型による鋳造です。
弁柄を混ぜた漆を焼き付け、赤味を出すとともに、お歯黒をその上から焼き付け、光沢を出します。
「お歯黒」とは、昔、結婚した女性が歯につけたもので、今でも歌舞伎などでは(実物ではないでしょうが)塗っていますが、テレビドラマでは全然見られません。
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この製造方法を簡単に説明します。
陶器の壺に日本酒をいれ、そこに熱した鋳鉄を静かに沈め、三年から五年間、日の当たる場所に密閉して放置します。9年間かかったこともあります。
詳しい熟成作用は分かりませんが、時間がたてば立つほど、いいお歯黒ができあがります。主成分は、酢酸鉄と酸化鉄の混合物ですが、かなりバクテリアの作用も利いているようです。
飲みたい酒を我慢して、使うことになりますし、年月はかかりますし、貴重な着色剤です。作った学生も、在学中にはそれを使うことができませんから、先輩が作ったのを引き継いで使用するわけです。
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お歯黒の元々の色は、茶褐色あるいはチョコレート色の鉄の酸化色ですが、ここにお茶を一滴加えますと、タンニンと反応して、瞬間的に黒色に変化します。ですから、作品に黒味を加えたいときには、最後に煎茶を焼き付けてやります。
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教室には、これまで作った二十数種類のお歯黒を、100CCずつ保管しています。どなたか詳しい定性分析をやっていただければ幸いです。
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なお、日本酒ばかりでなく、米のとぎ汁でもできると言われていますが、作ったことはありません。
学生がコンパで飲み残した、酒・ビール・ウイスキーをミックスさせて作ったところ、なかなかいいものができたこともあります。
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いいお歯黒かそうでないかは、まず、瓶の蓋を開けたとき、細かい泡が充満していることで確かめられます。
次に、作品に焼き付けたときの臭いです。
二日酔いの時出る、あの、ムッとくるげっぷの臭い(アルデヒド)がするようでしたら、良好です。
砂糖が焦げるような臭いでしたら、まだ未熟成です。
色や光沢は、むらなく均一に焼き付けられればそれで良いのですが、焼き付けにはかなりの熟練を要します。
温度、濃さ、焼き付け回数、使う道具(藁刷毛や木綿の布)、下地着色の種類と濃さによって、微妙に発色が異なってきます。
茶釜など、それ専門の職人さんがいたことからも、難しさがおわかりいただけると思います。
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かつて、学生の飲み残しの酒で作ったとき、3年後に様子を見たら、なかに、うどん状の物体が充満していて、SF的な気分を味わったことがあります。
生物の教授に調べていただいたら、バクテリアの進化したものだと言われましたが、あのままにしておいたら、今頃、未知の生命体が教室にはびこっていたかもしれません。
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染料にも使うことができると言われています。正式な取り扱い方法は知りませんが、着色に使う布の色をみれば、かなり強烈な染まりかたをするはずです。 学生の、竹田和紀さんの研究によれば、古代から日本に存在したものの、今の技法を伝えたのは、鑑真だということです。
・・・・・読んでいただきありがとうございました。アンコールは仏像3レリーフです。
十一面観音
AMIDA
YAKUSHI
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